防食や腐食という言葉を聞いたことがありませんか。
防食というのは、金属の腐食を止める方法や、腐食していく速度を抑えるためにされる対策です。
腐食は、主に金属の材料が環境などの影響を受けて化学的に劣化や損傷してしまうことです。
分かりやすい例では、鉄が腐食するというのはサビが生じることです。
鉄は、環境、周りの状態によってサビることで本来持っている機能を果たせなくなります。
これを防ぐのが防食です。
防食方法の種類について
金属などの防食は、さまざまな場所、部分で施されています。
金属は、ネジや金属の接合などさまざまな場所に使用されています。
このような場所が腐食してしまうと、本来持っている機能が損なわれ、破損や事故につながるからです。
防食には、いくつかの方法がとられます。
環境の中にある反応物質と防食を施す素材の表面を遮断する方法があり、環境遮断と言われます。
被覆防食では、防食の対象となるものを被膜で覆うことにより水や酸素などから守る方法です。
電気防食は、その名の通り金属に電気を流し、
腐食が起こらない防食電位に変化させることで腐食を防ぐという工法になります。
または、腐食しにくく酸化が発生しにくい材料となる耐食材料を使用することによって行う防食です。
これらの方法は、防食を必要とする場所や部分、環境によって選ばれます。
新石器時代から使用されていたセメントとコンクリート
腐食は、金属製品に限らずコンクリートでも起こります。
コンクリートは、セメントに水、砂などの骨材、砂利などを混ぜることによって作られています。
セメントとコンクリートは、似ているように感じますが違うものです。
セメントというのは、接着剤にあたりコンクリートを作るときの材料のひとつになります。
セメントの歴史は古く、今から9,000年前の新石器時代に発掘された家の跡にコンクリートに似たものが発見されています。
この遺跡には、石灰石で作ったセメントに石灰石や砕いた石などを混ぜて作られた床や壁がありました。
また、4,000年ほど前の古代エジプト時代のピラミッド建設時に、セメントのようなものが使われていたと言われています。
この古代エジプト時代に使われていたセメントのようなものは、現在のものや新石器時代のものとは異なります。
エジプトでは、水は使わずに石灰と焼き石こう、火山灰などに砂や泥を混ぜたものが使われていました。
このようにセメントやコンクリートは、歴史的に残る遥か昔から使われていました。
コンクリートにも必要とされる防食は場所に合わせた工法を選ぶことが重要
コンクリートは見た目が石のような素材なので、腐食とは無縁のものだと感じます。
しかし、コンクリートは経年劣化などによる老朽化や強い力が加わることで劣化していまいます。
また、下水道施設などに使用されているコンクリートは、
硫黄酸化細菌と鉄酸化細菌という細菌によって生成された硫酸によって腐食してしまう場合があります。
このようなことから、コンクリートの場合でも、使用されている場所により防食加工が必要とされます。
コンクリートの防食工法は、いくつかの工法に分けられています。
まずは、防食被覆工法となるシートライニング工法。
無機質系材料を用いる高耐硫酸モルタル防食工法。
樹脂塗材を塗布する塗布型ライニング工法などです。
これらの防食工法は、コンクリートが置かれる環境や
防食後のメンテナンスが必要かどうかなどによって分けられます。
コンクリートの防食を実施した後、耐久性を確保、維持するためには
適切な設計やコンクリート躯体品質の確保、供用開始後に行われる適切な維持管理などが重要になります。
これらが、行われることにより防食が維持されます。
防食は、コンクリートにも必要となります。特に、下水道施設では
コンクリートの保護、耐用年数を伸ばすためにも防食工法が重要なものとなります。
コンクリートの防食は、環境などに合わせた工法を選ぶこと、防食作業後の維持管理が重要になり、
長持ちさせることにつながるのでしょう。