珪藻土のメリット・デメリットについて知りたい!珪藻土の塗り壁材を見かけるけど、根本的な特徴を知っておきたい
今回は珪藻土のメリット・デメリットの知識についてご紹介いたします。
珪藻土のメリット
珪藻土のメリットは大きく分けると「調湿」「脱臭」「耐火」の3つとなっています。
①調湿できる
最大の特長は調湿できる点です。調湿とは部屋の湿度状況によって、湿気を吸収したり放出したりしてくれる現象のことを言います。
これらを可能にしているのは珪藻土に空いている無数の小さな穴。これらが湿気を自動で吸ったり出したりします。直径は2~50ナノメートル(ナノメートル=10億分の1メートル)で、穴の数は木炭の5000~6000倍といわれています。
人間にとって快適な湿度40~60%を自動で保つ「呼吸する壁」ともいわれています。調湿は70g/㎡以上の製品が多く、比較される漆喰にはここまでの調湿性能がないものが多いです。
夏場の暑く湿気が多い場合は湿気を吸収し、冬場の寒く乾燥している場合は放出するので結露対策建材としても優れています。
水を直に吸収する吸水性もあるので、最近ではお風呂上りのバスマット品も登場しています。
②脱臭・消臭する
2つめの特長は臭いを吸収する点です。そもそも臭いの正体は化学物質の分子で、それが鼻の嗅覚細胞にぶつかることで臭いを感じます。臭い分子は空気中の水分子(=湿気)に溶けるので、結果として湿気を吸収すれば臭いも消えます。
逆に湿気を出すときには臭いも放出される心配もありますが、放出速度が極めて遅いため人間には臭いません。中には5年経っても猫の臭いが気にならない、という声も挙がっています。
③火に強い
融点は約1,250℃と七輪コンロや断熱レンガとして利用されてきたくらい火に強いです。
④色が多い
漆喰と比べ、色のラインナップが豊富です。漆喰は無機物なため冬になるとカルシウムイオンが表面に浮き出て白いムラが出る白華現象が起きるデメリットがあり、そのため白色系のものが多いです。
一方、珪藻土では顔料(着色料)を混ぜることで数十種類から数百種類の色を出せます。ベージュや白色といった基本色を使いながらアクセントに富んだ青やオレンジの使い分けも可能となっています。
⑤自然素材である
珪藻土は珪藻という植物プランクトンの死んだ殻が沈殿して化石になった土のことです。自然素材にこだわりのある方におすすめです。
珪藻土のデメリット
①ぼろぼろ粉が落ちやすい
ビニールクロスや壁紙と異なり、なでると粉がぼろぼろ落ちる場合があります。手でなでると砂っぽい感じがします。
ただ、最近ではこういったデメリットを改善した、ツルッとした珪藻土材も発売され始めています。リビングといった人・ペットの出入りが多い場所にはこういった商品を使いながら、人の手が届きにくい天井には従来の風合い感のある商品を使うのもひとつの方法です。
②混ぜる凝固剤・つなぎ材の影響を受け、効果が弱まる可能性がある
珪藻土は漆喰のような塗り壁材とは違い、それ単体では固まりません。そのため凝固剤(セメント、せっこう、ドロマイトプラスター、合成樹脂)を混ぜて施工します。混ぜる凝固剤には次の2種類に大きく分けられます。
自然素材にこだわるのであれば、このつなぎ材も自然素材系のものを選んでください。
合成樹脂をつなぎ材として多く使うと珪藻土の無数の穴をふさいでしまいます。例えるなら、スポンジにプラスチックでできた洗面器をかぶせるようなもの。スポンジを濡らそうとしても洗面器が水をはじき濡れませんよね。
「やったー!珪藻土だ!」と喜んでも、期待していた調湿・消臭効果が得られないケースがあるのはこれが原因です。珪藻土の含有率が50%以下になると漆喰よりも調湿性能が劣ると言われているため、珪藻土の含有率の高いものを選ぶと良いです。