「珪藻土のメリット・デメリットについて知りたい!」「珪藻土の塗り壁材を見かけるけど、根本的な特徴を知っておきたい」
今回も前回に引き続き珪藻土のメリット・デメリットの知識についてご紹介いたします。
③吸水性があだとなり、醤油をこぼすと染みになる
ビニールクロスや壁紙は醤油をこぼしてもすぐにさっと拭けば染みは残りませんが、珪藻土の場合は染み込みやすいので注意が必要となります。
④建物のゆれでヒビ入る
こちらもビニールクロスや壁紙に比べての話ですが、②の凝固剤が少ない場合や地震や道路からの振動で建物がゆれた場合にひびが発生する可能性があります。
漆喰やほかの土壁についてはあてはまることです。下地の伸縮によってもクラック(亀裂)が発生することもありますが、重ね塗りできるのでそこまで神経質にならなくてもよいかもしれません。
メリット・デメリットのどちらにもなりうる特徴
①ざらざらしてる
ざらざら感が好きな方には良い手触りで、一般的な土壁とまではいかないものの確かな手触り感を感じられます。逆につるっとした質感がお好きであれば漆喰の方が良いです。一度メーカーサンプルを取り寄せ、実際に触ってみるとよくわかります。
②仕上がりが左官職人の腕に依存する
職人の腕によって表情が変わるのが塗り壁です。あえて表情をつけたい場合に二度塗りも多く、珪藻土の塗り壁も例外ではありません。
いかがでしょうか。ポイントをまとめると
【珪藻土のメリット】
調湿してくれる
脱臭・消臭してくれる
火に強い
色多い
自然素材
【珪藻土のデメリット】
ぼろぼろと粉落ちる
混ぜる凝固剤の影響を受け、強みが消える場合も
吸水性があだとなる場合がある
地震や道路からのゆれでヒビ入る
【どちらともいえる特徴】
ざらざらした手触り(好み)
職人の腕に品質が依存する
珪藻土のメリット・デメリットは比較しての話ですから、何と比較するかで強みにもなり弱みにもなります。
迷わないためにはまず珪藻土そのものの特徴を理解しておきましょう。
珪藻土(けいそうど)とは?
珪藻土とは、珪藻の殻が化石になって積み重なって固くなった土です。
珪藻とは?
珪藻は植物性プランクトンで、彼は水中に漂っていて、ぴたっと条件があえば繁殖します。きれいな池や水槽にいつの間にか藻が生えたり赤潮が発生したりするのもこのような理由です。それらの珪藻がやがて死に、残った殻が年月と共に水底に沈殿し積み重なっていくと化石化してゆきます。その化石を原料としているのが珪藻土です。
珪藻土の成分は?
主成分は「二酸化珪素(SiO2、にさんかけいそ)」でガラスと同じで、珪藻土の「珪」は「珪素(けいそ)」の頭文字です。種類や地層の上層部、下層部から弱酸性から強アルカリ性まで様々です。
珪藻土の利用方法
【日本】
・火に強い土として、七輪・コンロ・耐火レンガとして利用
・輪島塗では漆を木地に吸着させ丈夫にするため、輪島市内で取れた珪藻土を蒸し焼きにして漆に混ぜています
・アイヌ民族は少量の珪藻土を、汁物のとろみ付けに使ったり山菜を和えたりして食べました。
・江戸時代の飢饉の際に珪藻土が食べられることを知り、飢えのあまりに大量に食べてしまった人々のなかには、便秘に悩まされたり糞詰まりのため死ぬ人も出たとのこと。
・太平洋戦争中には、ビスケット及び乾パンやキャラメル等、菓子・食品類の増量剤として使われたことがありました。
【海外】
・古代ギリシャでは研磨剤・軽量レンガとして利用されました。
・トルコのイスタンブールにあるアヤフィア博物館には、東ローマ帝国時代に珪藻土で作られたドームが残っています。
・イギリスでは吸着作用を利用し胃腸薬として処方されることもある
【最近の利用方法】
・ビール・お酒製造のろ過材
・乾燥土質の土壌改良
・風呂桶や風呂マットとして利用
・建材(1990年代後半から)