早川技建

建造物の防食に電極をもちいるっていうのはホントなの?

 

私たちが利用する建造物には金属がもちいられています。

鉄骨工事や鉄筋工事もそのひとつです。

身近なところでは河口付近に架ける橋も電極によって防食がされています。

どうして電極をもちいるのでしょうか。

今回は、電極をもちいる建造物の防食についてご紹介します。

 

 

腐食するから

金属は頑丈なのですが、サビがつきます。

いわゆる腐食というデメリットがあります。

街中にも鉄骨鉄筋コンクリート造はありますが、金属パーツは海中、土の中にも使われています。

サビついてしまうと耐朽性・耐久性も劣ります。

それを防止する方法のひとつとして「電気防食」という電極をもちいた方法が取られています。

 

 

腐食と防食について

金属製が腐食するメカニズムとしては、

表面が酸化還元反応によって電子がイオン化し、脱落してしまいます。

十円玉に青いサビが浮いていることもありますが、

このサビがイオン化した金属表面の電子にあたります。

腐食はどんな環境下でも起こり、強度も落ちますし、

薄い金属パーツなら虫食いみたいにボロボロになり、穴あきが目立ちます。

サビた鉄棒も腐食によって簡単に折れてしまったり、建築物なら崩壊する危険性もあります。

ちなみに、腐食する条件としては、空気に触れたり、塩水によってサビやすくなります。

先にあげたように、私たちの身のまわりの建造物は金属製です。

橋も鉄骨・鉄筋造で、点検やメンテナンスも行われていますが、腐食対策は必要になります。

それを「防食」とよんでいます。

 

 

電気防食について

金属製のものにはサビ止め塗料を塗布することがあるでしょうが、これも防食です。

トタン屋根が一例ですが、

しかしながら海中・水中・土の中にあるものには塗装が難しいのが事実です。

防食方法として提案されるのが電極による電気防食になります。

電気防食は、金属が腐食しやすい環境(海中や土の中)の防食をする方法になります。

そのメカニズムとしては、金属に電極から直接電流を流すというシンプルなものです。

金属を腐食しない電位まで変化させます。

簡単にいえば、電子がイオン化して金属面から脱落しますが、

その電位を上げ下げして、イオン化しないようにしています。

例えば、鉄の電位を上げると電子も変化します。

陽極防食といいますが、電位を下げれば、陽から陰へ変化して陰極防食となります。

電位の上げ下げに関しては専門的な原理になるのですが、環境にもよるものになります。

 

 

電気防食のメリット

サビ止め塗料が使えないような環境下でも防食ができるということがメリットです。

先にあげたように、海中や土の中に建っている建造物が一例で、

小島を繋ぐような橋などにも使われている方法です。

もちろん、鉄骨鉄筋コンクリート造のコンクリートの鉄芯にも利用ができます。

先にあげたように、どんな環境下でもサビついてしまいます。

コンクリートも経年劣化により、ひび割れるでしょう。

空気や水が染み、鉄芯がサビてしまいますから、

電子を上げたり下げたりした電気防食をすることにより腐食を防ぐことができます。

コンクリートの中となると、防サビ塗料も塗り直し、塗替えができませんが、

電流なら長年通し続けることが可能です。

これを専門的にいえば、外部電源方式となります。

現場に電源を設置し、防サビ対象となる金属に直接電流を供給する方法になります。

もちろん、電源設備が必要になるので、管理や電力費などのコストもかかりますが、

その他の方法としては流電陽極方式があり、この場合にはコストもあまりかかりません。

 

 

今回は、電極をもちいる建造物の防食についてご紹介しました。

金属をもちいることで、丈夫な造りになります。

そのため、劣化を遅くすることが大事になります。

防ぐことができれば、安心、安全も付帯されます。