建設業法にて分類されている工事の種類の一つに左官工事があります。
左官工事は主にモルタル、壁土、漆喰などを吹き付け・貼り付ける作業のことを指します。
そんな左官工事は具体的にどんな仕事が分類されるのでしょうか。また左官工事に必要な資格者などについてご紹介致します。
左官工事
左官工事とは、モルタル、ブラスター、壁土などの材料を水で練った後、下地に塗り付ける工事のことを指す建設用語です。またサッシの周りにモルタルを詰める工事や打ちっぱなしのコンクリートの補修工事、吹き付け工事なども左官工事に含まれます。
左官工事は、壁土、モルタル、漆喰、繊維などをこてやローラーで壁や床に塗っていく工事です。専門性が高く、日本の伝統的な工法の一つに数えられています。
最近では珪藻土や漆喰などの自然の素材を用いた壁が再注目されています。ただし、同じこて塗りでも防水モルタルを使った工事は防水工事業に分類されることもあります。
また吹き付け工事も左官工事に含まれるものと、とび・土木・コンクリート工事に含まれるものがあります。
左官工事の吹き付け工事は建築物に吹き付けるのに対し、とび・土木・コンクリート工事に含まれる吹き付け工事は、法面処理などのために吹き付ける工事のことを指します。
~セメントモルタル塗りの手順・流れ~
塗装下地の準備
型枠を解体したコンクリートはそのままの状態でセメントを塗りつけると剥がれてきてしまう可能性があるので、デッキブラシでコンクリート部分をしっかり磨き、超高圧洗浄を使い処理を行います。
吸水調整剤を塗りつける
吸水調整材を下地になるコンクリートに塗りつけます。塗りつけるセメントモルタルは乾燥すると脆くなりやすくなるので、吸水調整材で水分がセメントモルタルの水分が吸い込まれないよう抑制します。
セメントモルタルを塗りつける
コテを使ってセメントモルタルを塗りつけていきます。始めを「下塗り」と言い、仕上げは「上塗り」と呼ばれます。回数によってセメントの種類も変わってきます。
左官工事が活躍する労働環境
左官工事は建築物によって労働領域が変わってきます。
この3つの領域を町場・野丁場・半野丁場と呼びます。それぞれどのような建築物でどのような場面で左官工事が登場するのかご紹介致します。
町場
「町場(町丁場)」と呼ばれる左官工事の労働領域は、木造住宅など市街地内の工事現場を言います。
日本古来から続く神聖な神社や寺などの外壁や和室の壁塗りなども行います。
野丁場
野丁場とはマンションやビルなど大型施設の建築を専門とした労働領域です。
骨組みとして組み立てられた柱などのコンクリートの表面に薄く塗装してタイル張りや床・階段などの下地作りを行います。
半野丁場
半野丁場とは鉄骨(S造り)や鉄筋コンクリート(RC造り)、木造住宅など比較的小規模な労働領域です。
内装工事や玄関ポーチ、商業施設の床塗りなどの左官工事を行います。
左官工事に必要な資格者
左官工事に必要な資格者はまず、経営業務管理責任者を満たしている人がいることが前提です。
満たしている人間がいる場合は、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定の『1級左官』、技能検定の『2級左官』+合格後3年間の実務経験の資格者がいれば許可を取得することができます。これらの資格を持っている方は、左官工事の専任技術者になることが可能です。また1級建築施工管理技士の場合は、特定建設業許可の専任技術者にもなれます。
そして10年以上の実務経験を積んでいる方がいる場合は資格者の代わりとなります。
さらに土木工学や建築学に関する学科を卒業している場合、10年ではなく3~5年の実務経験で許可取得が可能です。
実務経験を証明する場合は、過去の契約書や注文書、誓約書控えなどを提出します。
日本の伝統的な工法である左官工事
左官工事には、壁や床の仕上げに壁付や漆喰などを塗る仕事です。日本の伝統工法の一つとして知られ、塗る回数によって微妙な色合いを出せます。
職人の技術によって、様々な質感を作り出せるので近年見直されています。