早川技建

コンクリートの腐食を防ぐ防食工事とは?主な工法の施工方法を紹介

 

上下水道や工場などの施設ではコンクリートの耐久性を高める目的で、

防食工事と呼ばれる工事が行われています。

施工しないまま放置していると材料の劣化が進み、

ある日突然崩壊する危険が出てくるからです。

施設を守る防食工事とはどのような工事なのか、施工が必要な理由や

対象となる施設について基本情報をまとめてみました。

 

 

防食工事が必要となる理由

コンクリートは木材などと比べて極めて硬く耐久力が高い構造材ですが、

酸性の液体や水分にさらされると劣化しやすいのが弱点です。

特に鉄筋を含む場合には、空気中に含まれる二酸化炭素を原因とする

コンクリートの中性化が問題となります。

ひび割れや剥離を引き起こす最大の原因は、

高アルカリ性が失われることによる内部鋼材の腐食と膨張です。

表面がコーティングされていない状態では水分も吸収しやすいため、

床や外壁・内壁が水にさらされる環境では劣化が早く進んでしまいます。

内部に吸収された水分はアルカリ骨材反応や凍結で膨張し、

内部構造を破壊する原因となってしまうのです。

硫酸のような酸性の液体も、劣化を加速させる腐食物質の1つに数えられます。

硫化水素ガスが発生するような環境では硫酸となって濃縮されやすいため、

以上のような劣化を防ぐための防食工事が欠かせません。

 

 

防食工事の施工対象となる施設

以上のような環境にあってコンクリートが劣化しやすい施設としては、

上水道や下水道の処理施設が挙げられます。

下水道法で定められた終末処理場以外でも、さまざまな種類の廃液を処理している施設は

防食工事の対象となる施設の代表格です。

さらには薬品を製造する工場や化学工場・メッキ工場でも

さまざまな腐食物質を扱うため、防食工事の施工対象となってきます。

各種のプラント施設や食品工場でも、コンクリートの劣化につながる

化学物質を扱うケースは少なくありません。

劇物・危険物・薬剤を貯蔵するタンクや貯水槽を持つ施設も

同様のリスクがありますので、防食工事の施工をおすすめします。

外壁などの鉄筋コンクリートが劣化すると水分や塩分が内部に侵入しやすくなり、

鉄筋の腐食劣化にまでつながりかねません。

こうなると構造物の強度は著しく低下してしまいますので、

塩害の発生しやすい場所にあるコンクリート建造物も防食工事の対象に含まれてきます。

 

 

防食工事の基本原理

「防食」は「防蝕」という字を当てる場合もあるように、

材料が化学物質などに蝕まれることを防ぐのが最大の目的です。

施工例の多い代表的な工法としては、防食ライニング工法と

ポリウレア吹付け工法が挙げられます。

いずれも表面をコーティングすることで腐食物質が

コンクリートの内部に侵入しにくくなり、高アルカリ性も維持されて

耐久性の向上が期待できるようになるのです。

工法の違いに関わらず、防食工事を施工する際には

コーティング工程に先立つ下地処理が欠かせません。

施工対象となるコンクリートの状態によってはコーティング材が浸透しにくい場合もあるため、

事前にポリッシャーなどを使って表面を研磨した下地剤を塗布したりする工程が必要になってくるのです。

下地処理を行うことで防食皮膜の接着性も良くなり、コンクリートの耐久性も長持ちします。

防食工事を依頼する際にはどのような工程で作業が進められるのかという点を重視し、

下地処理をしっかりと行ってくれる業者を選ぶことが大切です。

 

 

まとめ

酸や水分に対して意外な脆さを見せるコンクリートの耐久性を高めるには、

表面を保護して腐食物質を寄せ付けないための防食工事が効果的です。

コンクリートの構造物は約50年持つと言われてきましたが、

それは理想的な環境で腐食を最低限に抑えた場合に限られます。

上下水道処理施設や廃液処理施設・工場などコンクリートが劣化しやすい環境にある施設では、

防食工事を施工することで寿命を延ばしていく必要があるのです。