家の建築工事に欠かせない存在が「左官」です。
左官とは、鏝(こて)による「塗り」の技を駆使し、建物の壁や床、天井、塀などを造る職人のことです。
左官が受け持つ主な仕事は、建築工事の中でも実際に目に映ることになる部分です。
近年では左官職人が高齢化しており、ニーズが非常に高くなっています。
左官の主な業務
左官の仕事で最も代表的なものは、建物の「塗り」です。
モルタルやセメントなどの下地材の塗りや、土や漆喰、珪藻土などの仕上げ材の塗りを行います。
数十種類もある鏝を活用し、自身の手先の感覚によって、ムラなく均一に塗り上げていきます。
しかも、美しくなければなりません。
塗り作業で必要とされるのは手先の器用さだけではなく、丁寧さや根気強さ、そして芸術的なセンスです。
塗り以外の業務としては、レンガ積みやブロック積み、床ならし、タイル貼りなどがあります。
これらの業務も見栄えの良さが肝心であり、職人としてのスキルが問われます。
左官に必要な資格
左官になるだけであれば、専門の学校に通って指導を受けたり、
特別な資格を取得するための勉強をしたりする必要はありません。
左官業を営む企業や工務店などに雇用されれば、左官として働くことができます。
ただし、左官の仕事をすることと、優秀な左官職人になれることは別問題です。
左官は高度な技術を必要とする仕事であり、一般的な技術を身につけるだけでも3年はかかり、
棟梁と呼ばれるようになるには最低でも10年の修業が求められます。
なお、左官を行う上で必須な資格はありませんが、左官に関連する技能を修得する道はいくつかあります。
1)左官技能士
左官の技能を代表するものとして、「左官技能士」という国家資格があります。
左官としての技術レベルを測る技能検定制度のことです。
左官技能士には難易度の異なる1級と2級の資格があり、1級の取得者は一流の左官としての証になります。
左官に役立つ資格としてその他、以下などがあります。
当然、多くの資格を取得することが自分のスキルアップに繋がります。
・登録左官基幹技能者
親方として独立する際に必要となります。
・切削工具研削技能士
左官の仕事と関係性の深い研磨に関する技能です。
・高所作業車免許
高い所にある壁を塗るのに役立ちます。
2)左官になるのに有益な専門学校
左官になるのに有益な学校としては、建築系専門学校の建築大工科や伝統建築科、
工芸デザイン科などがあります。
左官は学歴を必要としませんが、専門学校で基本的な知識や技術を身につけておけば、
左官の仕事をスムーズにできるようになります。
また、全国各地に〇〇大学校や〇〇職業能力開発センターなどという職業訓練校があり、
それらも選択肢に加わります。
一流の左官になるまでのステップ
左官としてのキャリアは建築工事会社などに就職し、親方や先輩職人に弟子入りすることからスタートします。
材料や水を混ぜ合わせる作業から始まり、段階的に塗りの技術を学んでいきます。
職人は昔から「目で見て技術を盗む」というスタンスになっており、親方や先輩職人の仕事をよく観察し、
頭ではなく身体で覚えることが重要です。
当然、現在の会社ではビデオなどの映像機材が備わっており、目で見て学ぶということも行われます。
長年の修業によって必要な技術を全て身につければ、左官技能士などの資格を取得することができます。
また、独立して親方となり、自身の工務店を経営することも可能です。
まとめ
家の建築工事における左官の役割は非常に重要です。
住居の所有者の目に付く範囲の仕事を受け持つため、住居の出来栄えを一番判断されることになります。
それだけ、高い技術が求められます。
なお、左官になるための必須な資格はありませんが、
自分自身で高度な技術を身に付ける環境で学ぶことが最も重要になります。