みなさんは、金属の「腐食」とはどういった現象なのかご存じですか?
金属においての腐食とは、金属材料が使用環境中の反応物質との化学反応により、金属としての特性を失い、溶けたり、
孔が開いたり「錆び」などの腐食生成物を発生させる現象を指します。
この記事では、そういった腐食や、その対策として防錆・防食法などについて取り上げ、詳しく解説します。
■金属の腐食の主な原因について
鉄や銅、アルミニウム、などのほとんどの実用金属材料は、環境中で時間の経過とともに徐々に酸化していきます。
このような環境劣化現象を「腐食」と言いますが、金属の腐食と一口に言ってもその現象の要因は様々で、
いくつかの種類に分けられます。たとえば、水分に触れることで起こる「湿食」と、
空気など酸素を含む空気中で高温加熱された時に生じる酸化によって起こる「乾食」があります。
その他にも、電気化学反応によって起こるガルバニック腐食(接触腐食)というものもあります。
ガルバニック腐食は、異種金属の接触により、イオン化傾向の小さい金属(貴な金属)から
イオン化傾向の大きい金属(卑な金属)に電流が流れ、腐食電池が形成されることによって発生し、
電極電位の高い(貴)ほうがカソードになり、アノード側が腐食・溶出します。
こういった腐食を防ぐには、環境中の腐食の要因となる反応物質を金属表面処理によって防食することです。
■耐食性・防錆性について
金属を使用するうえで、金属の錆びつきは無視できません。
金属材料が錆びてしまうと、駆動部がスムーズに動かなくなったり、
耐久性の低下で寿命が短くなったりといった問題が発生します。
しかし錆は、どの金属でもすぐに発生するわけではありません。金属の種類によって腐食する速度には違いがあります。
「耐食性」とは、この腐食が進行する速さの違いのことを指します。
耐食性が低ければ腐食反応の進行は速く、高ければ遅くなります。
金属によって耐食性に差が生まれるのは、物質には安定性に違いがあるからです。
たとえば、金や白金などの貴金属やステンレス、ハステロイなどの合金など、物質が安定した状態にあるものは、
酸化還元反応に必要なイオン化が起こりにくいため、腐食が起きにくいという特性があります。
■金属表面処理による防錆・防食法の基礎
「防食」とは金属材料が腐食してしまうのを防止することを指します。
金属材料のもっとも一般的な防錆・防食方法には、めっき、有機塗装、
陽極酸化皮膜などにより金属材料表面を環境から遮断する、表面処理という方法があります。
たとえば「めっき」だと代表的なのは、鉄にスズをめっきしたブリキや、トタン(銅・鉄の亜鉛めっき)などですね。
めっきによる防食は、鉄等の母材に亜鉛等の、
あえてイオン化傾向の大きい金属をめっきすることで、母材の防食効果が期待できます。
皮膜が卑な金属のめっきとしては、建造物などに利用されている溶融亜鉛めっき、
ボルトなどへの電気亜鉛めっきがあります。人為的に耐腐食被膜を形成させる金属の表面処理は、
昔から腐食環境の遮断を目的として利用されてきました。
表面処理鋼管などの防錆対策がされた金属を採用することで金属材料を錆から守り、
メンテナンスにかかるコストの削減や金属の長寿命化を実現出来ます。
●まとめ
腐食の原因や金属の耐食性、表面処理による防錆・防食法について、ここまで解説してきましたが、いかがでしたか?
鉄のように腐食しやすい金属の錆を防ぐためには、めっきや有機塗装などの優れた表面処理が必要です。
さびの発生は、金属部品として使用できなくなること、
美観を損ない商品価値を落とすことなどの経済的な損失とともに、思わぬ事故や災害の原因となることもあるので、
できるだけ表面処理などの防食を施したものを使用するようにしましょう。