多くの日本の家庭では、玄関へのアプローチに段差があり、これが足や腰へのストレスになることがあります。将来に備え、事前にこれらの段差をなくしておきたいと考える人も多いでしょう。

この記事では、外構リフォームで段差のなくすためのスロープへの変更と、そのメリットとデメリットについて解説します。

なぜ玄関前に段差が設けられるのか

ほとんどの家には、外構に段差が設計されています。特に玄関の段差は目立ちます。

玄関、アプローチ、門扉の周りの段差は地形の特性によるものもあります。ですが実は、日本特有の高温多湿な気候が大きな理由です。このような気候条件下では、住宅は床が通気しやすい高床式であることが求められます。

木製の床の場合、特に床下が湿気から守られていなければ木が腐りやすくなります。このリスクを軽減するため、建築基準法では床を地面から45cm以上の高さに設定しています。

しかし適切な防湿処理を施すことで、この高さは低く設定することが可能です。

デザイン面から考えると、床が高すぎると建物の外観がおかしくなることがあります。そこで、防湿シートの上にコンクリート層を加えることで、床の高さを適度に保ちつつ湿気対策を施す方法が普及しています。

木造の家よりも段差を低くできても、日本の気候に適応するためには、やはり外構に段差を設けることが不可欠です。

玄関にスロープを設置して段差を解消するメリット

外構工事でスロープを導入することで、多くのメリットが得られます。

車椅子やベビーカーの出入りがスムーズに

車椅子やベビーカーの出入りがずっと楽になります。外構にある階段をスロープへ変更することで、最も大きなメリットはバリアフリー化です。

スロープにすることで、車椅子を使用する人が自力で玄関へと入れるようになり、介助者の手を借りる必要がなくなります。段差をなくすことで、車椅子ユーザーだけでなく、介護する側の負荷も軽減されます。

また、スロープはベビーカーの利用者にとっても便利です。元々段差があると、玄関でベビーカーを持ち上げる必要が出てきてしまい、これが重労働となることがあります。

特に買い物から帰宅した際には、重い荷物を抱えながらベビーカーを押すことは、かなりの苦労です。

しかしスロープがあれば、ベビーカーを押しながらスムーズに玄関を通過でき、出入りの際の負担を大きく軽減できます。

未来の生活スタイルに合わせたバリアフリー化

多くの方が、将来の生活スタイルに合わせて住まいの改修を考えています。

特に外構のリフォームにおいては、将来的に玄関やアプローチの段差が原因でのつまずきや転倒を避けるため、また車椅子ユーザーのためのスロープの設置を検討する例が少なくありません。

バリアフリー化を予め行うことにより、人生のさまざまな段階への対応がスムーズになり、より安全で快適な生活を送ることが可能になります。

高級感を添えるデザインの選択

外構工事でスロープの表面を仕上げる際にタイルやレンガを選ぶと、高級感溢れる洗練された外観を実現できます。

スロープの勾配をゆるやかに設計することにより、空間に開放感をもたらし、魅力的なエクステリアを創出することができます。

玄関スロープ設置のデメリット

外構工事でスロープを設置することのデメリットも確認しましょう。

工事にかかる費用が高くなる

スロープ設置のための外構工事は、階段設置時と比べて一般的に高額になる傾向にあります。

段差をスロープで解消するリフォームの場合、既存の階段やアプローチの撤去および地面の平坦化などの工事が必要になり、これらの作業によって追加費用がかかります。

また、スロープの床材に高級なものを選ぶと、費用はさらに高くなる可能性がありますので、特別なデザインを希望する場合は費用面での検討が必要です。

より多くのスペースを必要とする

スロープを設置するには、階段に比べてより多くのスペースが必要です。

たとえば、階段に必要な10cmの高さを克服するには、スロープでは約120cmの長さが必要となります。

敷地内に高低差がある場合、それを補うためにはさらにスペースが必要ですので、設計段階で十分な検討が求められます。

外構工事でスロープによる段差解消を考えているなら、専門の業者へ相談を

外構工事でスロープに改修する際のメリットとデメリットについて説明しました。

外構における段差をなくすリフォームをご検討であれば、専門の外構工事業者に相談してみましょう。

工事のプロセスや予算の目安が明確になる上、施工実績を持つ住宅の外観を直接確認したり、施工例の写真を見せてもらえるため、スロープのデザインをより具体的に想像することができます。

依頼するか迷っている場合でも、業者への問い合わせをおすすめします。疑問点をクリアにできるだけでなく、適切な業者選びにもつながりますので、ぜひ相談してみてください。